合口 | あいくち | 印籠・煙草入れ・棗・蓋物などの蓋・段の合わせ目のこと。 |
合い提げ | あいさげ | 根付から印籠と火打ち袋の二つが提がったもの。二つ提げともいう。 |
青金 | あおきん | 金粉の内、金80%・銀20%程度の合金を指す。 |
青金粉 | あおきんふん | 青金を使った金粉。 |
泥障 | あおり | 乗馬の際、鞍の下に敷く。染織や革製で、革製の場合は
漆塗に蒔絵や箔絵で加飾した。 |
阿古陀形香炉 | あこだがたこうろ | 香盆に載せて香を焚いたり、伏籠・寄掛の中で香を焚く。
断面が南瓜に似ているからこう呼ばれ、内側が金属張りで、金工の籠目になった火屋が載る。 |
浅黄 蝋色塗 | あさぎろいろぬり | 水色の塗り技法。鞘塗師の鈴木嘉助嘉貞が、
天保十一年に出雲松江藩主松平直亮の大小拵のために発明し、明治時代に発達した。 |
芦手 | あしで | 絵柄の中に、主題となる和歌の文字の一部を散らすこと。 |
鐙 | あぶみ | 乗馬用の馬具で、足を置くための具。
日本では鉄や木製で、象嵌や塗・蒔絵・螺鈿で加飾した。 |
洗出し | あらいだし | 粉固めした後、毛棒に炭粉を付けて固めの漆を除去し、
ぶつぶつと金属粉を露出させる技法。 |
洗い棒 | あらい ぼう | 蒔絵筆や刷毛に付いた漆を油を使って洗い落とすための棒。 |
合わせ箱 | あわせばこ | 失われた外箱に代わって、大きさの似た箱を選んで合わせた箱。 |
沃懸地 | いかけじ | 金属粉を密に蒔いた地塗りの古称。粉溜地ともいう。 |
衣桁 | いこう | 着物を掛けるための掛け台。 |
石目 | いしめ | 変塗りで、炭粉や乾漆粉を蒔いてできた凹凸のこと。 |
石目塗 | いしめぬり | 変塗りで、石目を付けた塗技法。
黒漆を基調とすれば黒石目塗、赤色を基調とすれば赤石目塗、茶色漆を基調とすれば茶石目塗となる。 |
板文庫 | いたぶんこ | 文房具の一種。
板の上に料紙を載せ、紐を掛けて料紙を押さえる床飾り。一般には料紙の上にさらに硯箱を載せ、紐で一緒に括る。 |
釦 | いっかけ | 沃懸の訛語。器物の口縁を平蒔絵すること。江戸期には指で沃懸漆を付け消粉を蒔きつけた。 |
一閑張 | いっかんばり | 和紙を張り重ねたものを胎とした漆器。飛来一閑が有名。 |
糸底 | いとぞこ | 高台の中の見込み部分のこと。 |
色漆 | いろ うるし | 彩漆とも書く。さまざまな顔料を混ぜて作った、色のついた漆。
近代にレイキ顔料が発明されるまでは、朱・緑・黄・茶・黒しか出なかった。 |
印肉入れ | いんにくいれ | 印肉を入れる容器。水滴と共に硯箱に稀に収められる。 |
印譜 | いんぷ | 様々な印章を一つの紙面に捺してまとめたもの。 |
印籠 | いんろう | 1:印材を収める箱で書院の飾りに使う。
2:桃山時代に発生した、携帯用の薬入れ。 |
印籠掛 | いんろうかけ | 印籠を飾るための台。手拭掛状の一面のもの、2つ折など2面以上のもの、2つ折で閉じると箱状になるものなどがある。
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印籠刻 | いんろうきざみ | 刀鞘の一種。一寸ほどの間隔で刻みのある鞘。
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印籠箪笥 | いんろうだんす | 複数の印籠を収納する箪笥。
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印籠箱 | いんろうばこ | 1:印籠を収納する箱。
2:複数の印籠を収納する箱。特に重箱状に重ね、中に仕切りを設けて印籠を納める形式のもの。
3:印籠蓋造の箱の略称。
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印籠蓋 | いんろうぶた | 印籠の蓋に似た蓋の形状。身の内側に立ち上がりを付け、蓋と身と同平面になる被せ蓋。薬籠蓋(やろうぶた)とも。 |
印籠 蒔絵師 | いんろう まきえし | 印籠製作を得意とする蒔絵師。合口や仕事に独特な高い精度が要求される。 |
うあい | うあい | 鳥の羽・葉脈などを高上げで谷状に描割る技法。付描に比べて、非常に手間がかかり、入念な作品に見られる。碁石打ちともいう。 |
薄貝 | うすがい | 鮑などの薄い貝のこと。青貝とも呼ぶ。 |
薄茶器 | うすちゃき | 濃茶に対し、薄茶を入れる容器。一般には塗りの棗を指す。 |
売立 | うりたて | 明治末期以降、華族・寺社・資産家・実業家・収集家などが財産整理のために行ったオークション。入札と競売りとがある。 |
売立目録 | うりたてもくろく | 規模の大きな売立ではカタログが作られた。学術的には、伝来を調べる重要な資料となっている。 |
漆絵 | うるしえ | 1:色漆を使って器物に描く技法。
2:原羊遊斎や柴田是真一門がはじめた、紙に色漆で描く技法。 |
漆掻き | うるしかき | 1:漆の木を掻いて樹液を採取すること。
2:漆掻きを専門とする職人。 |
漆書銘 | うるし がきめい | 黒漆・朱漆などで書いた銘。 | |
潤塗 | うるみ ぬり | 黒漆に朱漆や弁柄漆を混ぜた臙脂色の漆。 | |
江戸形 | えどなり | 印籠の形状の1つ。
縦長で段数の多い印籠。元禄時代に江戸で流行し、幕末まで多くみられる。
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江戸蒔絵 | えどまきえ |
江戸時代に江戸で産出された蒔絵がほどこされた漆器。
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絵梨子地 | えなしじ |
文様の一部を梨子地とすること。高台寺蒔絵の代表的技法の一つ。 |
遠州形 | えんしゅうなり |
江戸時代初期の武将茶人小堀遠江守政一が好んだ形状。
灯籠や茶道具等に独特な形状がある。 |
黄漆 | おうしつ | 石黄の顔料を混ぜた黄土色を呈する色漆。 |
黄漆溜 | おうしつため | 黄漆塗をして研いだ後、透き漆・梨子地漆を塗りたてにする塗技法を使った溜塗。 |
大平目 | おお ひらめ | 大きい平目粉。1粒づつ置いて並べる。 |
置平目 | おき びらめ | 平目粉を1粒づつ置いて並べたもの。 |
置霜塗 | おきしもぬり | 黒石目塗の一種で、大垣昌訓が命名した塗技法。 |
置き目 | おきめ | 下絵を転写する際、下絵を裏返して弁柄漆でなぞること。また弁柄漆でなぞった線やそうした下絵のこと。 |
御小屋
| おこや | 1:徳川幕府が作事・普請・調度製作などのために
空き地や火除け地に臨時に仮設する工場。御小屋場・御用小屋場とも言う。特に漆工に関しては、
御殿焼失後の新規御道具製作や婚礼調度製作のために設けられる。
2:それら工場で作られたものに金貝の極付をしたものが多いため、
極付された金貝のことを御小屋とも呼ぶ。 |
御小屋物 | おこや もの |
御小屋で製作された調度類。金貝を煌びやかに貼り付けたものや、
パターン化された蜀江文・襷文・七宝文が地に描かれた婚礼調度類を指す。 |
御細工頭
| おさいくがしら | 徳川幕府の職制。御細工方の統括者で
御細工所を支配した。 | |
御細工所
| おさいくじょ | 徳川幕府や諸大名が調度・道具類を製作のために設けた工房。
特に以下の2箇所を指す。
1:徳川幕府が江戸城内に設けた工房で、御細工頭が管轄した。
2:加賀藩前田家が金沢城内に設けた工房で、御細工所奉行が管轄した。 | |
御細工所 | おさいくどころ |
職人が独立して設けた私的な工房。御は単なる丁寧語であり、御細工処とも書く。細工場などとも言う。 |
折敷 | おしき |
飲食具で低い縁の付いた方形の盆。通常は四隅が隅切になっている。 |
緒締 | おじめ | 印籠と根付の中間にあって、2本の紐を1本に束ねるための玉状・管状のもの。 |
押形 | おしがた | 乾拓(水を使わない拓本)のことで、完成した蒔絵の上に和紙を載せ石華墨や軟質の鉛筆などで摺って模様を写し取ること。 |
御印 | おしるし |
皇室、公家、将軍家、大名家で、
所用者各個人を識別するための符号や符丁。箱に墨書する場合は、文字で、
道具そのものには、朱や平蒔絵で底や裏などに絵柄で表すことが多い。 |
緒留 | おどめ | 緒締のこと。 |
大原形 | おおはらなり | 小原形とも言う。盃の形状の1つ。 |
御目見 | おめみえ |
将軍・大名等に拝謁すること。また拝謁が許される身分・格式。 |
表書 | おもて がき |
外箱の表にかかれた文で、作品名や作者。技法などが書かれる。 |
折撓 | おりため |
一閑塗等の木地で、切れ込みを入れて折って成形した器物。 | |
折紙 | おりがみ | 鑑定書のこと。 | |
織部形 | おりべなり | 桃山時代の武将・茶人古田織部正重然が好んだ形状。灯籠や茶道具に独特な形状がある。 | |
御塗師 | おんぬし | 幕府・諸大名の御用塗師。 | |
御挽物師 | おん ひきものし | 幕府・諸大名の御用挽物師。 | |
御蒔絵師 | おん まきえし | 幕府・諸大名の御用蒔絵師。 | |