た行
鯛牙たいき文字通り鯛の固い牙(歯)で、蒔絵の際など擦りの漆が溜まりやすい部分を研ぐために使う。
高上げたかあげ高蒔絵の際に漆を盛り上げること。流派によって、銀粉・錫粉・砥の粉・炭粉などを使う。
高蒔絵たかまきえ主要な蒔絵加飾技法の一つ。蒔絵する部分を高く盛り上げてから蒔絵する技法。流派によって高上げの材料・技法は異なる。
高盛絵たかもりえ錆漆で高上げして、色漆で加飾したもの。金城一国斎が得意とした。
鉄刀木たがやさん唐木の一つ。東南アジア原産のマメ科常緑高木。
鉄刀木塗たがやさんぬり塗りで鉄刀木を表現したもの。
焚殻入たきがらいれ香道具の1つ。 香木を焚いた燃えた残りを捨てる容器。
立上がりたちあがり印籠蓋造りのもので、身の内側で蓋に差し込まれる部分。立ち上がりを高くすることで、蓋のかみあわせを安定させる。
竹塗りたけぬり竹に見えるようにした塗り。擬竹塗りともいう。橋本市蔵など明治期に流行した。
叩塗りたたきぬり変塗りの1つ乾く前にタンポで叩いて皺を出したもの 。武具類に用いた。
煙草入たばこいれ刻みたばこを入れるための提物。皮革製のものは、その形状からカマスと呼ぶ。漆器のものもある。
煙草盆たばこぼん刻みたばこを吸うための道具を一つに収納するための盆。火入れ・灰落とし・煙管掛けが付く。用途により対客用・茶席用・駕籠入用などがあり、形状によっても盆形・箪笥形など様々ある。
玉梨子地たまなしじ斑梨子地の一種で、玉状に斑に蒔いたもの。
玉縁ためぶち・たまべり箱物の置き口の周囲に付けられた、断面的に丸い突起のこと。
溜塗ためぬり透漆や梨子地漆を塗って仕上げる塗り方。
短冊箱たんざくばこ短冊を収める箱。 婚礼調度では縦長で印籠蓋造りの箱。掛子を付けて長硯と水滴を納めたものもある。また 幕末頃からは縦長で被せ蓋造りの箱もあり、反り橋のように、底面蓋面を平行に反らせたものもある。
短冊銘たんざくめい金工作者や象嵌作者が漆工品に入れる銘で、長方形の短冊形のものに入れ、漆器面に象嵌したもの。
タンポたんぽ叩塗りに使う。柄の先に球状に綿を布で包んだものを付けた物。
   
茶道具ちゃどうぐ茶道に使う道具。
茶道具商ちゃどうぐしょう茶道具を扱う専門の商人。茶道具屋。
茶器ちゃき茶道具。特に 茶を入れる茶入れや棗を指す場合も多い。
茶箱ちゃばこ野点に使用する茶道具をコンパクトに収納する箱。茶碗・棗・香合・茶杓・茶筅・袱紗などを収納する。
蝶足膳ちょうあしぜん膳の形状の1つ。
彫漆ちょうしつ漆から刀を使って彫る技法。
猪口ちょこ・ちょく盃で深さが深いもの。
猪牙ちょき猪の牙。置き目を写す際、紙の上から擦るために使う。
塵居ちりい唐戸面で平らな面取り部分。
塵地ちりじ金属粉をまばらに蒔いた地塗り。砂子地・粉蒔地など。
沈金ちんきん蒔絵に次ぐ金粉を使った加飾技法。刀で模様を彫り、漆を塗りこみ、金箔・金粉を擦り付けたもの。
沈金銘ちんきんめい作銘の技法で沈金を使う技法。
堆黄ついおう黄漆を塗り重ね、彫刻する技法。
堆錦ついきん練った色漆をローラーで伸ばし、切って貼り付ける琉球漆芸の技法。
堆黒ついこく黒漆を塗り重ね、彫刻する技法。
堆彩漆ついさいしつ1: 錆上げをして色漆で仕上げる技法。
2:様々な色漆を塗り重ねる技法。
堆漆ついしつ漆を塗り重ね、彫刻する技法。
堆朱ついしゅ朱漆を塗り重ね、彫刻する技法。
堆朱青貝瀬戸物蒔絵師ついしゅあおがいせとものまきえし徳川幕府の御用職人で笠翁細工を製作した。野村次郎又家が勤めた。
堆青ついせい青漆を塗り重ね、彫刻する技法。
付描つけがき蒔絵面に細かい線を表現する際、蒔絵した面に細い線を蒔絵すること。
角粉つのこ鹿の角を焼いて粉としたもの。蝋色塗りの仕上げ磨きなどに用いる。
角所つのどころ刀装用語。要所を金具ではなく、水牛角製としたもの。
椿炭つばきずみ椿を焼いた炭。金属粉を磨くことに適する。江戸では文政期から使い始めたと考えられる。
壺印つぼいん作者が蒔絵銘の下に入れる壺形の印。通常朱漆で書かれる。
爪紅つまぐれ黒塗りの縁に朱漆を細く塗ったもの。
爪盤つめばん蒔絵道具で、指に嵌めて筆に漆を付けたり、筆を調えるのに使う。
泥絵でいえ上塗りが乾く前に、金属粉と水や膠を混ぜたものを筆に含ませ一気に絵付けし 、上塗り面に吸い込ませて、金属粉を固着する技法。松田権六が試みている。金粉を使えば、金泥絵、銀粉を使えば銀泥絵となり、総称して泥絵と呼ぶ。
手板ていた習作や、技法の見本、制作工程を段階的に表現するために小さな塗板に 加飾を施したもの。目的としては、子孫・門弟への手本、商用の見本や展示用として制作した。
鉄錆塗りてつさびぬり・かなさびぬり変わり塗りの一種。鉄の黒錆のように見えるようにした塗り技法。
手拭掛てぬぐいかけ手拭を掛けるための掛台。
手拭挟てぬぐいばさみ手拭掛から手拭が風で飛ばないように固定するための 金属性の金具。
籐網代とうあじろ 1:籐を編んで網代としたもので、煙管筒に見られる。
2:わゆる籃胎漆器のことで、籐網代の上に漆を塗り重ねたもの。
陶板銘とうばんめい作者が陶板に銘を入れ、漆器面に象嵌したもの。
研出蒔絵とぎだしまきえ主要な蒔絵加飾技法の一つ。平蒔絵の後、地漆と同じ漆で塗り込め、同一平面に研ぎ出して、絵柄を表したもの。
研出銘とぎだしめい銘を研出蒔絵とした銘。
研切蒔絵とぎきりまきえ主要な蒔絵加飾技法の一つ。研出蒔絵の一種で異なる二種以上の材料を蒔いて、同一平面に研ぎ出して、絵柄を表したもの。
徳利とくり・とっくり細く高く、口がすぼまった酒を注ぐための容器。酒席ではまず提銚子と盃、次に略して徳利と猪口が出る。婚礼調度では蒔絵で猪口と対にして蒔絵される。提重には錫製ものや、蒔絵のものが組み込まれる。
砥粉とのこ砥石の粉。錆び上げなどに漆と練って使う
戸辺工房とべこうぼう戦前に蒔絵師戸辺公風が経営した工房。印籠や時代漆器を新作していた。
共箱ともばこ作者が製作時に誂え、自署した箱。
とん錆びとんさび高上げの際、回数・手間を減らすために砥粉を多くして、増量した錆び漆。早期に品質に問題を生じる。
土坡どは文様で土の部分の稜線の表現。
豊楽焼きとよらくやき名古屋の陶工大喜豊助の創始した陶器。特に「木具写」は陶胎に塗り・蒔絵を施した独特の作風で知られる。
頓骨とんこつ1:残菜入れ。訪問先で骨などの食べ残しを、椀に捨てるのが非礼とされ、持ち帰るための提げ物。現代の茶席で用いる残菜袋と同じ目的である。
2:煙草入れ。四国・九州の方言では、煙草入れのことを「とんこつ」とも呼ぶことから、腰提げの煙草入れをも指す。
2005年11月22日 UP
2008年 1月 1日 更新