塩見 小兵衛 (しおみ こへえ) 生没年未詳
老松木地溜塗茶器 (おいまつきじためぬりちゃき)
塩見小兵衛作
製作年代 : 江戸時代後期
寛政頃(circa1790)
法量 :
直径93mm×高62mm
鑑賞 :
京都の伝説的な研出蒔絵の名工、塩見政誠作の後代と考えられる塩見小兵衛の茶器です。
表千家6代覚々斎好の老松割蓋茶器を、江戸千家の祖、川上不白が塩見小兵衛に写させたものです。
同様な作例が数点あります。薄茶地宝尽金襴の仕覆と共箱が附属しています。
形状 :
碁笥形の覚々斎好老松割蓋茶器を忠実に写したものです。蓋は中央で割り、2カ所に設けた銀の蝶番で開くようにしています。
技法 :
身、蓋ともに挽物の木地に、透漆を塗った木地溜塗としています。
蓋裏には、川上不白が朱漆で「不白(花押)」と書きつけています。
作銘 :
底部左に黒漆で「塩」の作銘があります。
外箱 :
桐製桟蓋造の共箱が附属しています。当初仕覆はなく、包裂だったらしく、
後に仕覆の紐の分の側板を樅板で足しています。
蓋甲に「老松」蓋見返に「覚々斎好/老松茶器/不白(花押)」の墨書があり、
底に「塩見小兵衛」の墨書に黒文円形印があります。
伝来 :
2009年に国内でうぶで発見されました。
↑先頭に戻る
作者について知る⇒
松竹梅唐草蒔絵印籠 (しょうちくばいからくさまきえいんろう)
塩見宗斎作
製作年代 : 江戸時代中期
法量 :
縦67mm×横80mm×厚20mm
鑑賞 :
洗朱蝋色塗地に松竹梅唐草を赤銅粉の高蒔絵とした特異な印籠です。
意匠から江戸千家の祖・川上不白(1719〜1807)の好み物と考えられ、
意匠と銘字から、塩見宗斎は川上不白の好み物を製作していた塩見小兵衛と同一人物とみられます。
合子形根付と緒締は縞柿製で、元からの取り合わせです。
意匠 :
朱の地に特徴的な黒の松竹梅唐草ですぐに思い浮かぶのは、有名な川上不白米寿の引盃です。
また段内部には鶴亀、松竹文がありますが、その引盃の裏の鶴亀文に類似した意匠であり、
まさに不白好みです。
形状 :
常形2段で、紐通付きのやや大振りな印籠です。
技法 :
・一見すると、洗朱蝋色塗地に簡単に黒の漆絵で描いたかのように見えます。
しかし実はそうではなく、入念に高上げして赤銅粉で仕上げた赤銅粉高蒔絵になっています。
蕊と葉脈も赤銅粉の付描です。
・段内部は黒蝋色塗地に青金粉の研出蒔絵です。釦は金地です。
作銘 :
底部下中央に、小さな字で「塩見宗斎」の蒔絵銘と古代朱の漆絵で「東」の壺形印があります。
伝来 :
2022年、宮城県内の明治維新後に南部家が入封した地域からうぶで出現しました。
盛岡藩主・南部家からの下賜品の可能性があります。
南部家は8代藩主・利雄(1724〜1780)と9代藩主・利正(1751〜1784)が川上不白の熱烈な門人でした。
↑先頭に戻る
作者について知る⇒
2019年11月17日UP
2023年 2月 1日更新
|
|